現実的妥協=原則禁止論
各論比較
原則解禁論 | 現行延長論 | 原則禁止論 | |
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医療上の必要性が高い混合診療 | 全面解禁 | 評価療養を慎重に拡大 | 期間限定解禁 |
医学的根拠の乏しい混合診療 | 全面解禁 | 禁止 | 禁止 |
危険性の高い混合診療 | 全面解禁 | 禁止 | 禁止 |
アメニティ項目・医療外サービス | 全面解禁 | 選定療養で対応 | 選定療養で対応 |
民間企業参入 | 可能な限り拡大 | 国民皆保険原則でのみ | 国民皆保険原則でのみ |
詐欺対策・安全対策 | 別途規制 | 制度に内包 | 制度に内包 |
患者負担 | × | △ | △ |
医療財政 | × | △〜◎ | ○ |
短期的治療機会(混合可能患者) | ◎ | △ | ○ |
短期的治療機会(混合不能患者) | △ | △ | △ |
長期的治療機会(混合可能患者) | × | △ | ○ |
長期的治療機会(混合不能患者) | × | △ | △ |
支持者 |
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注:医療財政と長期的治療機会はバーターであり一概には言えない。たとえば、原則解禁論であっても長期的治療機会を犠牲にすれば医療財政の改善は可能である。表では、長期的治療機会が同等である場合の医療財政の有利不利、医療財政が同等である場合の長期的治療機会の有利不利を記載した。
基本理念
保険診療が最優先
- 保険診療の充実が最優先でなければならない。
- 最初に混合診療ありきであってはならない。
- 患者の生命・健康に必要な医療は例外なく全て保険診療化することが原則である。
- ドラッグ・ラグが発生する原因、未承認薬が未承認のままになっている原因を究明し、必要な対策をとること。
混合診療は補完目的
患者の生命および重大なQOLに関わる医療については、保険診療化原則の抜け道を作ってはならない。
- 保険診療化を前提としない医療を混合診療化してはならない。
- 保険診療化せず混合診療のまま長期間据え置くことは認めない。
- 評価期間の終わった混合診療は保険診療化するか廃止するかのどちらかを選ばなければならない。
- その患者にとって他に代替手段がないもの等、緊急に使用を認める必要性のある医療のみを混合診療にする。
ただし、医療外サービスは積極的に保険外併用療養費を導入する。
その他
改革を実行するのに医療財源が足りない場合は医療財政改革を行なう。
実践
保険診療充実策
- 効能拡大は55年通知と公知申請を原則とし、治験とは関係なく認める。
- 55年通知の利用促進のため、以下のような改善を図る。
- 国が責任を持って使用可能リストを作る。
- 文献を調べる専門部門を設けて、使用可能リストの徹底的拡大を図る。
- 医療機関からの事前調整システムを作り、事前調整で認められたものは使用可能リストに追加する。
- 効能拡大の公知申請の範囲を大幅に拡大する。
- 特許切れ未承認医薬品は公知申請の対象とし、治験なしでも製造承認を認める。
薬価の算定ルールを見直したり、新規医薬品の新たな保護ルールを創設するなどして、開発費の元を取りやすくする。(新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度が開始済み)
補完策
現状の保険外併用療養費をベースにする。
高度医療 治験 公知申請してから承認まで 55年通知 海外未使用新薬 保険外併用療養費 保険外併用療養費 × × 国内未承認薬 保険外併用療養費 保険外併用療養費 × × 適応外薬 保険外併用療養費 保険外併用療養費 保険適用または保険外併用療養費 保険適用
- 公知申請の事前審査範囲を拡大する
- 国内未承認薬でも公知申請後は保険適用または保険外併用療養費で使えるようにする。
メニュー
素晴らしき国民皆保険制度
医療制度問題
- 混合診療問題に関する誤解
- 混合診療より保険充実がまずありき(MRIC)
- ドラッグラグ・未承認薬の本質と改革案
- 小野俊介准教授による分析
- 使えない承認済医薬品
- 使い難い55年通知(適応外処方)
- 特許制度と医療制度の乖離
- 自由診療の問題
懸念事項
- 混合診療による国民皆保険崩壊の原理
- 混合診療に関わる医療利権
- インチキ療法蔓延の懸念
- 混合診療解禁の必要性はあるか?
それぞれの改革案
マスコミ報道等
- 混合診療社説と言う名のプロパガンダ
- 日本の薬価は高いのか?「薬価の国際比較調査にもとづく医療保険財源提案(薬価の国際比較-2010年薬価の比較調査報告書-)」
- まずは薬価全体を引き上げよ!ニボルマブ(オプジーボ)を下げる前に