患者団体は混合診療“原則”反対
全面禁止論
日本難病・疾病団体協議会
一、混合診療の解禁でなく、安全で効果のある治療薬を早期に保険適用してください。
混合診療の解禁は治療法を模索して苦しむ患者の治療に「格差」をもちこむことになります。 お金の心配をすることなく安心して治療が受けられるように、安全性と効果が確認 されている薬の保険適用を望みます。
また再び混合診療解禁の計画が持ち上がっているが、私たちは医療に貧富の差を持ち込ませず、医療の地域格差を解消しようとする立場からは絶対にみとめることはできない。
日本で最大の患者団体である日本患者・家族団体協議会は12月5日、「混合診療の解禁に反対する決議」を挙げ、小泉首相や経済財政諮問会議などに送付しました。
決議では「政府や財界は、『選択の幅が広がる』『高度先進医療』が受けられるとの美名のもと、混合診療の解禁を求めています。 しかし、この混合診療の解禁は、『新たな医療技術や治療法、薬などの保険適用を遅らせ、既に保険が適用されているものまで保険から外される』内容です」と、混合診療解禁の狙いを分析しています。
そして決議は「私たちは医療を受ける当事者として、混合診療解禁と特定療養費拡大に反対し、日本医師会や全国保険医団体連合会とも連携し、日本の優れた国民皆保険制度を守るために共に奮闘しましょう」と結んでいます。
原則禁止論
ヒイラギの会・キャンサーネットジャパン
また11/7付東京地裁判決に対する患者さんの受け止めは、新聞に掲載されたものでも、次のように懸念と不安を表明したものが多い。
「判決を歓迎したい気持ちはあるが、混合診療が全面解禁されると、経済的理由で受けられる治療の格差が広がってしまう心配がある」(福島市のがん患者団体「ヒイラギの会」の小形武代表世話人)、 「今回の判決により、海外で有効性が確認されている未承認薬を待ち望んでいた患者にとっては、混合診療が選択肢の一つになりうるが、有効な薬は平等に提供されるべきで、承認期間の短縮こそが必要だ」(NPO法人「キャンサーネットジャパン」東京の柳沢昭浩事務局長)など。
癌と共に生きる会・日本がん患者団体協議会
(1)科学的根拠のない医療行為が行われることには、当会も反対しております。
当会が求めているのは、あくまでアメリカのFDAが承認したがん治療薬についてのみ混合診療を認めてほしいという限定的なものです。
厚生労働省および日本医師会は、科学的根拠のある薬は、承認され保険収載され、国民皆が通常の保険診療で受けられるようにするのが「王道」だと仰います。
当会もその考えに全く異論はございません。
科学的根拠のあるがん治療薬は、いち早く承認し、保険収載することをこ、以下のように、これまで何度も厚生労働大臣等に要請して参りました。
繰り返しになりますが、当会は、基本的には、科学的根拠のある薬剤は、速やかに承認し、保険収載することを厚生労働省に求めております。
そのため、厚生労働省などが3.で懸念していること(保険適用外におかれ続けること)は、当会の懸念でもございます。
最後に、何度も繰り返しますが、当会は日本の皆保険制度を支持します。
「癌と共に生きる会」の事務局長は、こう語っている。 「完全解禁は望みません。医療に貧富の差がついたり、安全でない薬が使われるのは違うと思うからです。 国民皆保険という素晴らしい制度で、世界標準のがん治療を受けることが私たちの最終目的なんです」
「日本がん患者団体協議会」の事務局長も同意見だ。
「僕たちは、混合診療に全面的賛成でも反対でもない。 今のままでは死ぬだけの患者がいるのに、厚労省が何もしてくれない以上は、1年に限って緊急に混合診療を解禁し、 その間に、僕たちも入れた関係者で、抗がん剤に限らず、未承認薬の特定療養費や公的保険への迅速な適用を徹底して話し合う現実的対処を要望しているだけなんです」
卵巣がん体験者の会「スマイリー」
卵巣がん体験者の会「スマイリー」の片木美穂代表は「混合診療の解禁が長期的にみて患者の利益になるかは疑問が残る。 有効な薬をいち早く承認し、副作用があれば迅速に知らせる体制などを整備する方が先ではないか」と話した。
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素晴らしき国民皆保険制度
医療制度問題
- 混合診療問題に関する誤解
- 混合診療より保険充実がまずありき(MRIC)
- ドラッグラグ・未承認薬の本質と改革案
- 小野俊介准教授による分析
- 使えない承認済医薬品
- 使い難い55年通知(適応外処方)
- 特許制度と医療制度の乖離
- 自由診療の問題
懸念事項
- 混合診療による国民皆保険崩壊の原理
- 混合診療に関わる医療利権
- インチキ療法蔓延の懸念
- 混合診療解禁の必要性はあるか?
それぞれの改革案
マスコミ報道等
- 混合診療社説と言う名のプロパガンダ
- 日本の薬価は高いのか?「薬価の国際比較調査にもとづく医療保険財源提案(薬価の国際比較-2010年薬価の比較調査報告書-)」
- まずは薬価全体を引き上げよ!ニボルマブ(オプジーボ)を下げる前に